「違う患者さんに手術を行ってしまった」
このような報道が、テレビなどでたまに見られます。このような手術部位間違いや患者間違いは、日本国内ではあまり多くはありません。ところが、海外ではびっくりするくらいたくさん起こっています。患者さんからしてみれば、「何でそんなことが起こるのか理解できない」と思われる方もいらっしゃると思います。このような間違いは、実際に起こりうることです。自分自信、働いていてそう思います。このようなあってはならない事故を防ぐために、様々な対策を立てて手術に臨んでいます。
なぜ患者間違いや手術部位間違いが起こるのか
このような事故が起こる原因は様々ですが、特徴的なものを挙げてみます。
- 手術件数の増加
近年、麻酔方法や麻酔薬が進歩しており、ハイリスクな手術も行えるようになりました。また、内視鏡手術やロボット手術など、患者さんに負担の少ない手術ができるようになり、今まで手術できなかった患者さんも、手術を行えるようになりました。
- 患者さん本人に、本人確認や手術部位の確認を行えない場合がある
- スタッフの疲労
手術室で間違いが起こることの恐さ
- 本来必要な手術ではなく、必要のない手術をおこなってしまった
- 右側の癌を摘出するはずが、関係ない左側を摘出してしまった
手術室における事故防止への取り組み
- 手術部位のマーキング
- 手術安全チェックリスト
1.手術部位のマーキング
手術を行う部位、特に左右のある臓器などに対する手術の際には、油性マジックなどでマ
ーキングすることが推奨されています。誰がいつマーキングを行うかは施設によって異な
りますが、少なくとも患者さんの意識がある間に、医師をはじめとした医療者と患者さんが一緒に手術部位を確認し、マーキングする必要があります。
ーキングすることが推奨されています。誰がいつマーキングを行うかは施設によって異な
りますが、少なくとも患者さんの意識がある間に、医師をはじめとした医療者と患者さんが一緒に手術部位を確認し、マーキングする必要があります。
2.手術安全チェックリスト
安全に手術を行うための世界的な取り組みとして、WHO(世界保健機関)が推奨しているものです。具体的には、サインイン、タイムアウト、サインアウトの3つから構成されています。
- サインイン
手術室に入室し、麻酔をかける前に行います。患者さんの名前や生年月日、手術部位、マーキングが行われているかどうかなどを確認します。
- タイムアウト
麻酔をかけ、手術が始まる直前に行います。手術を担当するスタッフ全員が手を止め、患者さんの名前や生年月日、手術部位、手術内容に加え、予想手術時間や予想出血量などを確認します。
- サインアウト
手術が終わり、麻酔を覚ます前に行います。予定通りの手術が行われたかどうか、手術中にトラブルがなかったかどうかなどを確認します。
手術室看護師として、患者さんにお願いしたいこと
医療事故は起こしてはならないミスであり、特に手術室では命に関わる重大な事故になりかねません。僕たち看護師を含め、医療者全員があらゆる対策を講じて医療事故防止を行っています。ところが、医療者も人間であり、ミスが起こってしまうこともあります。医療事故をゼロにするためにも、ぜひ以下のようなことを、患者さんにもご協力頂きたいと思います。
- しつこいくらい、事ある毎に、お名前や生年月日を確認させて下さい
- 手術部位、特に左右がある場合は、その部位をしっかりと覚えておいて下さい
- 手術までにマーキングが消えそうな場合は、看護師に声をかけてください
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