2016年7月29日金曜日

盲腸の麻酔と手術

盲腸という病気は、若い方からお年寄りまで、幅広い年齢の方に起こる病気です。一昔前は、「お腹が痛いと盲腸を切除する」と言ってもいいくらいたくさん行われていました。現在は必ずしも手術ではなく、場合によっては抗生剤による内科的治療が行われたりもします。手術に関しても、開腹手術だけでなく、腹腔鏡による手術室も行われるようになりました。

盲腸とはどのような病気なのか

正式には、急性虫垂炎(きゅうせいちゅうすいえん)と言います。虫垂はお腹の右下あたりに存在し、この虫垂が炎症を起こす病気です。原因は、虫垂に便などが溜まりすぎてしまったり、不規則な生活やストレスなどが挙げられます。

急性虫垂炎の症状

炎症による発熱や腹痛、体のだるさに加えて、吐き気を伴う方が多いです。虫垂は右下腹部にありますが、だからと言って右下腹部に痛みが起こるとは限りません。左側のお腹が痛い方や、胃のあたりが痛いと言う方もいらっしゃいます。

急性虫垂炎かどうかを確かめるための検査

患者さんへの問診とお腹の触診、血液検査、腹部CTなどが行われます。虫垂炎と同じ症状が出る病気は他にもたくさんあるため、このような検査をして、虫垂炎かどうかの確認をします。

急性虫垂炎の治療

急性虫垂炎の治療は、症状の度合いや検査結果によって、内科的治療か外科的治療が選択されます。

内科的治療(抗生物質の点滴)

急性虫垂炎の原因となっているウイルスや菌に対し、点滴で抗生物質を投与する方法です。症状が軽く、抗生物質の点滴で治癒が望める場合に行われます。治癒の程度を見て、数日間の入院が必要です。抗生物質の点滴で症状の改善が見られない場合は、外科的治療が行われます。内科的治療で治癒が見込める場合でも、患者さんが手術を希望する場合は、患者さんの同意のもとに手術を行います。手術は、患者さんに大きな持病がなく手術にも問題がなければ、内科的治療に比べて入院期間が短い傾向にあります。

外科的治療(手術)

内科的治療によって治癒が見込めないような症状がある場合や、実際に内科的治療で治癒が見られなかった場合に行われます。基本的には、虫垂炎と診断されたその日に手術を行います。

急性虫垂炎の手術

急性虫垂炎と診断され、治療として手術が選択された場合、基本的には緊急手術となります。開腹手術または腹腔鏡手術が行われます。急性虫垂炎の手術は、虫垂を切除し、お腹の中をきれいに洗うことが目的です。虫垂炎を起こしてから日数が経過して症状がひどくなっている場合、お腹の中で膿瘍(膿のかたまり)が破裂している場合があります。このような場合は、手術にも時間がかかる場合があります。

急性虫垂炎の麻酔方法

  1. 脊髄くも膜下麻酔
  2. 全身麻酔
麻酔は上記のどちらかが選択されます。全身状態に問題がなく、虫垂炎の症状がひどくなければ、脊髄くも膜下麻酔で手術を行うことがほとんどです。虫垂炎の症状がひどい場合や、脊髄くも下膜麻酔が行えない原因がある場合は、全身麻酔が選択されます。また、腹腔鏡手術の場合は、必ず全身麻酔で手術を行う必要があります。

急性虫垂炎の開腹手術

右下腹部を3~5cm程切開し、虫垂を切除します。お腹の中の炎症が強い場合、切開をさらに広げることがあります。腸を引っ張って手術を行うため、意識のある脊髄くも膜下麻酔では、手術中に気持ち悪さを訴える方がいらっしゃいます。気持ち悪い場合は、我慢せずに早めに看護師にお伝えください。

急性虫垂炎の腹腔鏡手術

おへその周りを3~4か所切開し、トロッカーという筒を挿入して手術を行います。傷は開腹手術よりも目立ちやすい部分にできてしまいますが、1つ1つの傷が小さいため、傷跡はほとんど目立ちません。腹腔鏡手術は、お腹の中を広範囲に洗浄することができるため、ひどい虫垂炎の場合に選択されることが多くなっています。

まとめ

  • 盲腸(急性虫垂炎)は誰にでも起こる病気。
  • 急性虫垂炎の治療には抗生物質の点滴による内科的治療と、手術による外科的治療がある。
  • 急性虫垂炎の麻酔は脊髄くも膜下麻酔が多く、症状がひどい場合や腹腔鏡手術を行う場合には全身麻酔が選択される。
  • 開腹手術では気持ち悪さを訴える方が多く、気持ち悪くなった場合はすぐに看護師に伝える

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