2016年7月30日土曜日

脊髄くも膜下麻酔

脊髄くも膜下麻酔とは

脊髄の近くにある、くも膜下腔(くもまくかくう)という場所に局所麻酔薬を注入し、麻酔効果を得る方法です。一般的に、「下半身麻酔」とか、「半身麻酔」などと言われます。硬膜外麻酔と似ていますが、麻酔効果の発現が速いため、速やかに手術を行える反面、血圧低下などの循環器系合併症は起こりやすくなっています。硬膜外麻酔はカテーテルを留置することで麻酔時間を調節できますが、脊髄くも膜下麻酔はカテーテルを留置しません。一度麻酔薬を注入し、麻酔が切れる前に別の方法で痛み止めを行います。

2016年7月29日金曜日

盲腸の麻酔と手術

盲腸という病気は、若い方からお年寄りまで、幅広い年齢の方に起こる病気です。一昔前は、「お腹が痛いと盲腸を切除する」と言ってもいいくらいたくさん行われていました。現在は必ずしも手術ではなく、場合によっては抗生剤による内科的治療が行われたりもします。手術に関しても、開腹手術だけでなく、腹腔鏡による手術室も行われるようになりました。

2016年7月28日木曜日

全身麻酔

全身麻酔とは何か


全身麻酔とは、全身に麻酔薬を作用させ、鎮静・鎮痛・筋弛緩・有害反射の抑制という条件を満たすものを言います。全身麻酔薬は呼吸を抑制するため、手術中は人工呼吸管理が必要になります。名前の通り、全身麻酔は全身に作用するため、痛みを感じることなく、眠ったまま手術を終えることができます。眠ったまま手術が終わるため、多くの患者さんが全身麻酔を望みますが、いいことばかりではありません。局所麻酔に比べて麻酔を作用させる範囲が広いため、麻酔薬の副作用を始めとした合併症が起こりやすいことも事実です。

2016年7月27日水曜日

硬膜外麻酔

硬膜外麻酔とは何か


脊髄の近くにある硬膜外腔(こうまくがいくう)という場所に局所麻酔薬を投与して鎮痛を行う麻酔方法です。脊髄くも膜下麻酔に比べて麻酔効果はマイルドですが、その分、血圧低下や徐脈などの副作用は少ない傾向にあります。硬膜外麻酔単独で手術を行うことは少なく、全身麻酔や脊髄くも膜下麻酔と併用して手術中の鎮痛に用いることが主となっています。また、硬膜外カテーテルという管を留置することで、手術後の鎮痛にも用いられます。僕の印象では、硬膜外麻酔を留置されてる患者さんの方が、術後の痛みがかなり楽そうに見えます。その一方で、脊髄に近い場所にカテーテルを留置するため、合併症のリスクも考慮する必要があります。

2016年7月26日火曜日

安全に手術を行うための確認事項

「手術部位の左右を間違えて摘出してしまった」
「違う患者さんに手術を行ってしまった」

このような報道が、テレビなどでたまに見られます。このような手術部位間違いや患者間違いは、日本国内ではあまり多くはありません。ところが、海外ではびっくりするくらいたくさん起こっています。患者さんからしてみれば、「何でそんなことが起こるのか理解できない」と思われる方もいらっしゃると思います。このような間違いは、実際に起こりうることです。自分自信、働いていてそう思います。このようなあってはならない事故を防ぐために、様々な対策を立てて手術に臨んでいます。

2016年7月25日月曜日

手術前の絶飲食について

手術をするにあたって、手術前の一定期間、食べ物や飲み物を摂取しない絶飲食を行う必要があります。絶飲食というのは短時間でもつらいものです。食べる、飲むという普段何気なく行っている行為だからこそ、禁止されるとつらく感じます。不必要な長時間の絶飲食は脱水や栄養状態の低下を招くため、必要最低限で行う必要があります。食べ物というのは、胃に入ってから2〜3時間で十二指腸に移動し始めます。水分はそのほとんどが2時間で胃を通過し、食べ物は約6時間で胃を通過します。ほとんどの場合、手術における絶飲食には、以下のようなASA(米国麻酔学会)のガイドラインが用いられます。

2016年7月24日日曜日

このブログについて


自己紹介

はじめまして。僕は、とある急性期病院の手術室で勤務している看護師です。毎日手術の介助をさせて頂いているため、僕が関わるのは手術を受ける患者さんがほとんどです。手術室看護師としての仕事は、大きくまとめると以下のようなことであると僕は考えています。
  • 手術を行う医師の介助を行い、手術を円滑に進めること
  • 手術を受ける患者さんの不安を軽減すること
  • 手術を受ける患者さんに適切な術中看護を提供し、合併症を最小限にすること
この中で、患者さんの不安を軽減するための一環として、手術の前に患者さんが入院するお部屋を訪問し、お話をさせて頂く「術前訪問」を行っております。お話をさせて頂いた内容から、手術のときにどのような看護を提供するのかを考え、患者さんにとって少しでも楽に手術が終わるよう努めています。